148㎝の王子様
俺の前に差し出された箱。

つまりチョコ。

「あの…いや…、おっ俺に??」

混乱していた。まさか吉野がチョコをくれるなんて思っていなかったから。

「あっ…うん。友チョコ…だけど…」

“友チョコ”。つまりは友達にあげるチョコ。

吉野にとって俺は友達。

じゃあ、吉野はあのキス男が好きなのか?

何も言えなかった。ただ嫌な空気が俺達の間に流れていた。

「あの…もしかしていつき拓斗先輩にあたしがチョコあげるのみてた??」

吉野が言った。俺は何も言わなかった。

「ちっちがうの…!拓斗先輩にはいつものお礼で、べつに好きとかじゃなくて……っていつき?!」

俺は吉野の話しを聞いてしゃがみ込んだ。

「わりぃ…。なんでもねぇから…」

安心した。吉野とキス男が何もないと知って。

情けねぇ…。ほんと余裕ねーな俺…。

そして立ち上がって吉野が手に持っている物を受け取った。

「ありがとな。吉野。」

吉野は笑顔でうんと言って、教室をでて言った。



吉野の笑顔をみてもう友達でいいやと思った。

吉野がくれたチョコは、甘くほろ苦い味がした。





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