148㎝の王子様
**数日前**


「千春はさ、いつ沢村に告白するのよ??」

あと卒業式が数日と迫ったある日の放課後。

「どうするって…。そんなのわかんないよ…」

「あんたわかんない、わかんないって、わかろうとしてる??」

何も言えなかった。

わかってる。わかろうとしてない。つまりは、逃げてるってことぐらい。

考えれば考えようとするほど逃げてしまう自分。

怖いんだ。いつきに告白することが。

もしふられたら?

もし嫌いってゆわれたら?

もしお前になんか興味ないって言われたら??

「…はぁ。束莎…。あたしね、怖いの。告白することが。」

束莎は何も言わずに真剣な表情で聞いてくれた。

「もし振られたら…?もし嫌いって言われたら…?って。考えちゃって…」

逃げてるのはわかってる。

「だったら、いっそ告白なんてしなきゃいいんだって思う自分がいて…」

――バンッ…!!

いきなり机をおもいっきり叩く音がしてびっくりした。

「あんたなんなの??うだうだうだうだ!告白するときはねぇ、みんなこわいのよ!!」

束莎は物凄い剣幕だった。

「けど逃げるなって言ったのはあんたでしょうが!

あっ…。あのとき。束莎が山本君に勢いで告白しちゃったとき……

『逃げちゃだめ、逃げちゃ…だめ。』

あのときあたしは確かにそう言った。

逃げちゃだめだと。けど………

「あたしは…無理だよ。逃げてるってことは…わかる。けど、勇気がないの…」

あんなこと言っといて、都合が良すぎると思う。

「…けど、けどね。こんな気持ちのままいつき告白なんてできないよ…」


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