繚乱狂宴
Prologue
「精神の静養が得策と考えられます」

医者から告げられた言葉は、このぐらいしか覚えていない。

僕が何をしたのか、何故病院にいるのか。

それすらも分からないまま、話を虚ろに聞いていた。

言葉の意味が分からないわけではない。

自分のことが分からないのだ。

そして静養なんて、どうすればいいのか。

「転院の手続きはこちらで行いますので、それでは話が纏まり次第、連絡します」

そう言って、医者は去った。

視線を泳がせる。

白。白。白。病院の白い壁。

眼に悪い。

吐き気がする。

僕に合う色ではない。

僕がここに来た理由。





それは―――。





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