繚乱狂宴
「ハァ――――」

部屋を出ると、幽から安堵とも落胆とも取れる溜息が排出された。

「……やっぱり苦手です」

確かに、多少厳しすぎるような言い方だった。

あそこまで、と言うことは、かなりの決意があると思われる。

人と関わらない、強い、決意。

「……どうして、あんなに嫌うんでしょう」

「……さぁな」

裏切り。

小夜の言葉が脳裏に蘇る。

答えは、この言葉にある。

「センパイと、同じなんでしょうか」

僕と、同じ。

確かに、人と関係を持たないことを望む、それだけ考えれば同じだろう。

しかし、小夜は違う。

確証は持てないが、僕とは違う。

「……センパイは、どうして別れるのが嫌いになったんです?」

僕が人と関わらなくなった理由。別れたくない。

そんなのは……『ない』。

「……もう一度、話してくる」

「え……?」

「お前は待ってろ。話が拗れかねん」

幽を宥め、もう一度、小夜の部屋へと向かう。

幽の悲しそうで、心配そうで、不安そうな目が、背中に突き刺さっていた。
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