繚乱狂宴
「晶君。検診の時間ですよ」

現からの声により、強制的に躯が引き戻された。

眼を覚まし、身を起こす。

ベッドの傍に、女性の看護師が立っていた。

カートには血圧計や体温計、名前が分からない機械などが乗せられている。

「大丈夫? 変な感じとかしない?」

「はぁ……今のところは特にないです」

ならよかった、看護師さんはそう言うと、僕の裾を捲り上げ、カフを上腕付近に巻きつけてくる。

そして、あのポンプみたいなのを操作する。

何故これだけで血圧値が分かるだろう、と考えた事はあるが、別に知らなくてもいいような気がするので深く考えていない。

暫くの間、上腕が圧迫され、血の巡りが悪くなる感覚がする。

そして、血圧計が電子音を発した後、空気が抜ける音と共に圧迫が収まった。

「うん。異常はないみたいね」

ファイルに先ほどの数値を記入しながら看護師さんは言う。

じゃあ次は明日の朝に来るから、そう言うと、看護師は機材を片づけ始める。

この間、まだ思考が回復していないのか、ボンヤリしたままだった。

「あ、そうそう。晶君」

いきなり話しかけられ、豁然する。

授業中寝ていて、先生に注意されると一気に眠気が無くなるのと同じような感じだ。

「は、はい」

「あのね、この病院には君と年が近い子もいるのよ」

そうなのか。

入院している人なんてほとんどいないと聞いていた。

看護師さんに話を続けるよう相槌を打つ。

「だから、その子たちと仲良くしてあげてね?」

「はぁ……」

それじゃ、お大事に、そう言い残し、看護師さんは晶の病室を去った。
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