繚乱狂宴
「センパイ?」

ハッ、と我に帰る。

路地裏の光景など、どこにもない。

既に、病院。

隣にいる幽が僕を見上げている。

「どうしました……? 顔、青いですよ…?」

そんなに酷い顔をしているのだろうか、と思う。

「そうか……。悪い。少し、昔を思い出してた」

「昔……センパイの、病気ですか?」

聞いちゃマズかったかな、と幽の顔が落ち込むのが分かる。

幽の頭を撫でる。

「いいんだ。お前は気にするな」

幽はニコリと微笑み、

「それじゃ、センパイ。お休みなさい」

ペコリとお辞儀した後、幽は自分の病室へ窓から侵入する。

それに倣って、自分も同じように侵入した。

後ろ手に窓を閉める。

中はひっそりとしていて、人の気配もない。

後味が悪い出来事があったせいか、眠気は無し。

朝まで起きていられそうなのだが、それでも、体力が持たないだろう。

取り敢えず、ベッドに横になり、楽になる。

ド、クン――――。

また、躯が。

ド、クン――――。

心臓が、動悸が、早。

ド、クン――――。

やめ、ろ。
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