繚乱狂宴
Act.4 纏綿
「―――!」

猛烈な吐き気に襲われ、ベッドから飛び起きる。

日常の何倍もの速さで水道に駆け出し、胃の中の物をぶちまける。

「ゲホッ、オホッ」

咽ながら、何度も嘔吐する。

喉が焼ける様に熱く、口の中は酸っぱかった。

やがて、体が落ち着いたのを見計らうと、

水道の水を出し、吐瀉物を流す。

口の中も濯ぎ、後味の悪さを残さないようにする。

吐き気は、消え去った。

何だったのだろう。ストレスだろうか。

また、心に嘘を吐く。

狂気に飲まれかけた代償。

いや、僕は、まだ正気だ。

狂気に、喰われてたまるか。

水を止め、壁を思いっきり叩く。

叩きたくて叩いたのではない、虫がいたからでもない。

ただ、『己』を確かめるため、壁に八当たった。

「くそっ……!」

自分自身に毒づいた後、ベッドに戻る。

時刻は午前6時。何時の間にか、朝になっていた。

今日の空は雲に覆われ、太陽が顔を出していない。

ベッドに身を投げる。

難しいことは考えない。

その無防備になったところに、付け込まれるかもしれないから。

今は何も考えず、ただ、呆けたように、天井を見つめていた。
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