繚乱狂宴
「え……」

今まで歩んでいた方向に向き直る。

「あ……」

口から情けない声が漏れた。

確かに、これ以上進んでも何もない。突き当りの壁があるのみ。

むしろぶつかるところ。

考え事に夢中で、周囲のことを気にかけていなかった。

「あの……大丈夫ですか?」

子供は心配そうな顔で聞いてくる。

その『大丈夫』は果たして『疲れが溜まってるなら休んだ方がいいですよ』なのか、『頭の方』なのか。

「……大丈夫だ。忠告、ありがとう」

お礼を言って、そそくさにその場を後にしようとした。

想像する最悪のシナリオが描かれる前に。

「あ! ま、待って下さいっ」
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