繚乱狂宴
Act.5 倒錯
眼が、覚める。

診療室前の椅子に腰掛けていた。

どうやら眠ってしまったようだ。

何故か虚無感が体を支配している。

辺りに人気は無く、時計の秒針が刻む音がやけに響いていた。

――――身内の手術を待つ人じゃあるまいし。

溜息を吐く。

確かに、幽がとても気がかりではある。

だが、それ以上に、小夜が気になっていた。

汚らわしいモノを見るかのような眼。

光の失われた瞳。

僕は、どう見えていたのだろうか。

不確定な情報が飛び交う頭を抱えていると、診療室の扉が開き、幽が出てきた。
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