繚乱狂宴
顔をそちらに向ける。

幽の頭には包帯。手には相変わらずの点滴台。

「ど、どうも……お騒がせしました……」

幽は苦笑したまま一歩踏みだし、後ろ手に扉を閉める。

幽に問いかける。

「――――大丈夫か?」

「あ、ハイ。切り傷だけだそうなので……」

「そうか」

立ち上がり、歩を進める。

幽は軽鴨のように後ろをトコトコ着いてきた。

「……何か、聞かれました? お医者さんから」

唐突に幽が聞いてきた。

「……ああ。一応、知らずの一点張りで誤魔化しておいた」

「そうですか……」

僕の答えに心底安心したようで、幽の顔が安堵の表情になる。

この様子だと、幽も詳細を話していないのだろう。

「……話せるか? 何があったか」

「はい……」

幽は怖ず怖ずと口を開いた。
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