繚乱狂宴
他人には興味がない。晶センパイとは少し違った考え方だ。

「どうして、興味持たないんですか? 他のヒトのコト、もっとよく知りたい、とか思わないんです?」

「知ってどうなると言うの?」

「それは……自分と似てたり、考え方が一緒なら……気が合うと言うか……友達と言うか……」

上手く言葉で表せない。

しかし、小夜は眼を見開き、幽を怒鳴った。

「巫山戯ないで!」

いつもとは違う、怒濤の声。

たじろぐ幽を追い詰めるようにして、小夜は続ける。

「友達ですって? さっきから聞いてれば……そんなの、肩書きでしか無いのよ!」

「……」

様子が豹変した小夜を、ただ畏怖の眼で見る幽。

「友達だけじゃない! 家族だってそう! 他人なんかと関わりを持つから苦しむのよ! 独りほど良いモノはないわ!」

小夜の言葉は続く。

「何でもかんでも、自分の理想を人に押しつけないで! 独りでいることを貴方なんかに壊されたら溜まらないわ!」

「で、でも――――」

反論をしようと、口を開いた瞬間。

小夜の眼が変わった。

躰が、崩れるような。

蛇に睨まれた蛙のように身体は凍り付き、

氷の手で心臓が鷲掴みにされるように、体温が急降下するのが分かる。

「黙れ!」

小夜の水差しのコップが、眼前へ飛んできた。
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