繚乱狂宴
部屋を出ると、小夜と出くわした。

小夜は気にせず通り過ぎ、自らの部屋へ戻ろうとする。

「おい、待て」

即座に呼び止める。小夜の足が止まった。

「何?」

聞きたいことより、目の前の光景が最優先された。

「その手に持っている物は何だ」

小夜が手に持っているモノ。

蛍光灯の光を反射する小柄な銀の刃。

紛れもなくナイフだった。

「別に」

「別に、じゃない。何でそんなものを持ってるんだ」

第一に危なっかしい。

そして第二に、小夜だと何をするか分からない。

小夜は冷めた口調で答える。
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