繚乱狂宴
「護身用よ」

「護身用でも銃刀法違反になるということを知ってのことか?」

「私は画家を目指しているの。ペインティングナイフという画材があるわ」

「今あんたが持っているモノがペインティングナイフに見えるんなら、眼の検査をお勧めする。あと脳の検査もしとけ」

「貴方がやった方がいいんじゃないかしら」

「いい加減にしろ」

このまま話しても埒が明かない。

小夜は遁辞を続けるだろう。

小夜の手の内から柄を握り、捻って奪い取る。

まったくと言っていいほど抵抗は無かった。流石に危ないと感じ取ってくれたのだろうか。

「これで何をしようとした」

また自殺未遂を起こされたら堪らない。

問い詰めに、小夜は悪びれる様子もなく告げる。

「死のうとしたのよ」
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