繚乱狂宴
小夜からでた、事実を繰り返す。

「死のうとした、って……」

「自らの命を絶とうとしたのよ。それ以上でも、以下でもないわ」

「……またか」

予感は的中した。

悪い方向に。

「剃刀じゃない。キチンと殺傷能力があるのを選んだわ。これを身体に突き立てれば、確実に死ねる」

「そういう問題じゃない」

「剃刀を使わない、と言ったのは貴方のはずよ」

「死ぬのはよせ、とも言ったはずだ」

「貴方に言われる筋合いはないでしょう?」

嘲笑の笑みで話を返す小夜。

それを見て、ひどく、憤怒の相が沸きあがった。

ナイフを手の中で回し、逆手で持つようにして、小夜の首筋に突き立てる。
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