繚乱狂宴
「……どうして」

小夜の口から、小さな声が漏れる。

「どうして……貴方は、私を助けるの?」

「……」

小夜を助けた理由。

何故、僕は小夜をここまで気に掛けるのだろうか。

「正義の英雄でも、気取りたいのかしら? ……私は、ヒトじゃない。助けても、なんの肩書きも出来ないわよ」

「五月蠅い」

自分でも信じられないほど、怒った声が喉から出た。

「どうして、そこまで自分を卑下する必要がある? ヒトじゃないと言い張れる?」

「……」

「ヒトがヒトと決めるのは、周りのルールじゃない。自分のルールだ」

小夜の眼が、怯え始める。

「あんたは、自分しか信じない様なこと口にしておいて、結局、他人のコトに縛られているだけじゃないか」

「ち…………が……」

「違わないさ。あんたは結局、誰かに気にして貰わないと生きられないだけだ。『自殺する』、そう言えば、誰かが振り向いてくれる。同情を求めてるのはあんたの方だ」

「………う……あ」

小夜の眼からは涙が零れ、口からは嗚咽しか出ない。

小夜の頭に手を乗せる。

「話せば楽になる。そのコトを、あんたは知らなかったんだ。僕が聞いてやる。話せ」

床に座り込み、俯いた状態で、小夜の口が開かれる。
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