就活ラブ -gleam-
俺は「誰にする？」と言って立候補を待つけれど、みんなあからさまに目を逸らす。

さっきまでの勢いはやっぱり偽者だったのか、急に消極的に戻ってしまった。


こういう場合に司会っぽい役割の俺が発表するのはおかしいから他の人にやってもらいたいんだけど。

ため息をつきそうになって、長田さんと目が合った。

長田さんも同じことを考えてるようで、俺たちは二人で苦笑しあった。


「私やるね。自分で書いたから一番わかりやすいし」

書記の長田さんがやるのもどうだろうとは思うけど、他の人は明らかにやりたがっていないから仕方ない。

「そうだね。じゃあ長田さんお願い」


「うん、いいよー」と言いながらあっけらかんと笑った。


長田さんはたぶん頭の回転が速いんだと思うけど、すごく簡潔にまとまった上手な発表をした。
あと、人前でも堂々と話せるのは性格なのだろうか。

隣の子に「長田さん慣れてるね」と言われて、嬉しそうに笑った。


そこまでの一連の流れを見て、俺はなんとなく気が合いそうだなと感じた。

あとで話しかけてみよう。




セッションも終わって、セミナーの締めのあいさつを司会者がする間に長田さんはまたマイペースにプリントや筆記用具をしまい始めた。

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