就活ラブ -gleam-
「お前ばかか。忘れんなよー」

ザキは別に怒るでもなく、むしろ笑っていた。


俺も笑いながらちらっと後ろを振り返ると、長田さんがエレベーターに乗り込んでいる。

けれど武史がまだだったから俺はその場でエレベーターを見送った。


エレベーターが閉まった直後に「待たせてわりーな」と言って武史がやってきた。
そのわりにはのんびりと歩いてきやがるのでザキが蹴りをいれる。


「おせーよ！」

「うおっ！痛えし」


どっちも本気じゃないから俺たちはそのまま笑いながら歩き出した。




「武史、女としゃべってたんだろ」

ビルを出た辺りでザキが言った。

からかうような、いや羨ましそうな口調だった。


武史を見ると得意げな顔をしていたので肯定の意味だと解釈する。

「へえ。それで遅かったんだ？」

「そっ。アドレス交換してたからな」

「そうなんだ」

俺が納得していると、ザキに突っ込まれた。


「ダイ。そこはもっと反応しなきゃだめだろ！」

「なんで？だって武史休憩中も楽しそうに話してたじゃん。別に驚かないって」

ザキみたいに羨ましいとも思わないし。


だけど二人が揃って呆れるから俺はなんかおかしなことを言ったっけと考える。

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