就活ラブ -gleam-
ちょうど一人が俺の横の階段をゆっくり上がってきている。
きょろきょろと席を探しながら近づくその顔に見覚えがあって、俺は「あれ?」と声を出した。
けれどその子は全く気付くことなく俺の横を通り過ぎようとしている。
慌ててその腕を掴んだ。
その腕の細さに驚きながら声を掛ける。
「ねえ!長田さんだよね?」
「えっ?」
長田さんは本当に予想外だったみたいで、ばっと俺の顔を見た。
その瞬間目が大きくなって、次に少し困ったような顔をして言った。
「あ……えっとA大のー、……」
どうやら俺の名前が思い出せないみたい。
目が気まずそうに泳いでいるのに俺は内心がっかりした。
でもあれから何ヶ月か経っているからしょうがない、と自分に言い聞かせる。
「日下部です」
俺は今度こそ忘れられませんように、と願いを込めながら二度目の自己紹介をした。
「あっ、そうそう!日下部くん!」
頷きながら、そこでようやく晴れた顔をした。
けれどなんだろう。
前のときよりも少し大人しい気がした。
「大学名覚えてて名前忘れるなんてすごいね」
さっきのが余程ショックだったのか、気付けば俺はそう口に出していた。
きょろきょろと席を探しながら近づくその顔に見覚えがあって、俺は「あれ?」と声を出した。
けれどその子は全く気付くことなく俺の横を通り過ぎようとしている。
慌ててその腕を掴んだ。
その腕の細さに驚きながら声を掛ける。
「ねえ!長田さんだよね?」
「えっ?」
長田さんは本当に予想外だったみたいで、ばっと俺の顔を見た。
その瞬間目が大きくなって、次に少し困ったような顔をして言った。
「あ……えっとA大のー、……」
どうやら俺の名前が思い出せないみたい。
目が気まずそうに泳いでいるのに俺は内心がっかりした。
でもあれから何ヶ月か経っているからしょうがない、と自分に言い聞かせる。
「日下部です」
俺は今度こそ忘れられませんように、と願いを込めながら二度目の自己紹介をした。
「あっ、そうそう!日下部くん!」
頷きながら、そこでようやく晴れた顔をした。
けれどなんだろう。
前のときよりも少し大人しい気がした。
「大学名覚えてて名前忘れるなんてすごいね」
さっきのが余程ショックだったのか、気付けば俺はそう口に出していた。