就活ラブ -gleam-
「尚基!ごめんね、お待たせ!」
そう言って大胆にも腕をからませた。
別に俺は気にしないけど、尚基が真っ赤になってうろたえてたから笑ってしまった。
「尚基の彼女?」
笑いながら俺が彼女に聞くと、元気いっぱいに自己紹介をしてくれた。
「尚基の彼女のアキでーす!よろしくね」
「よろしくー。お前いつの間に彼女できたんだよ」
そう尚基に問いかけても、尚基が口を開く前に彼女の方が答える。
「昨日から付き合い始めたの!」
「へえ。おめでと尚基」
「いってえー!」
俺が尚基の肩を少し強めに叩くと、大げさに痛がった。
そんなに痛いわけないだろうに。
彼女のアキちゃんもけらけらと笑っていた。
「それにしても尚基、雪ちゃん以外にも友達いたんだねー」
「いるに決まってんだろ」
二人のそんな会話に、尚基の親しい人物にユキちゃんなんていただろうかと考える。
尚基も地方から下宿してるクチだから現在の交友関係はだいたい把握しているけれど、思い当たる人物はいなかった。
「雪ちゃんって誰?」
「ゆっきー」
「……っぷ。はははっ!」
俺は堪えきれず笑い出す。
ゆっきーは同じく法学部の友達。綺麗な顔とは対照的に、中身はかなり俺様なやつ。
ゆっきーが雪「ちゃん」って。そんな可愛いガラかよ。
「ゆっきー」ですら無理があると常々思っているのに。