テディベア
キーンコーン カンコーン
帰りのチャイムがなった。
誰一人聞いていない先生のホームルームは
何故かいつもより長く感じていた。
それが終わって日直のやる気のない挨拶で
みんないっせいに教室を出て行く。
そして廊下にタムロして、玄関でタムロする。
まったく飽きない奴等だ。
私は騒々しい学校が静寂を取り戻すまで、
ずっと教室の私の窓側の席で空を見上げている。
何故かわからないけど…
こうしてれば何故か落ち着いた。
「山橋(ヤマハシ)。いつまでそこにいるんだ?さっさと帰れよー。」
そう言ったのは担任の川口だった。
山橋はわたしの名字。
私はこいつが嫌いだ。
自分のためならどんな手段も選ばないで、
校長にだってプライドがないのか
ヘコヘコと頭を下げやがる。
こいつも周りと一緒で自分が一番可愛いんだ。
「はい。」
無視するとまた面倒な事になりかねないから
私は素直に席を立ち、教室を出た。
空はもう、
夕陽が落ち始めていて灰色と紫色が交じり合った色をしていた。