2/3友達
11章 偶然と不安
週末。

待ち合わせの時間に少し遅れそうだった私は、息を切らして走っていた。

久しぶりに会うマドカとの待ち合わせ時刻は、あと5分。

どんなに急いだって、5分であの場所までたどり着けるわけがない。

どうしよう?

うっかり家を出る時間勘違いしちゃってたんだよね。

このままじゃ、確実に15分以上は遅刻だ。

ふぅ。

角を曲がって足を止めた。

マドカの携帯に電話すりゃいいじゃん。

そんな簡単なことを今頃になって気づく。

ばっかだね。私って。

一人で苦笑しながら、バッグから携帯を取り出した。


「ナツミさん。」

後ろから呼び止められる。

振り返ると、自転車に乗ったカツヤが私の横で停まった。

「あ、カツヤ。」

「これから、従妹さんとの待ち合わせだっけ?」

「うん。今日は予定狂わせちゃってごめんね。」

「いいって。久しぶりなんでしょ?ゆっくり楽しんできて下さい。」

「ありがとう。カツヤは?」

「あ、今から家に帰るとこ。」

「どっか行ってたの?」

「ああ、うん。ちょっと昔の友達と会ってた。」

「そっか。あ。」

「ん?」

「もしさ、急いでないんなら、岬公園まで自転車で飛ばしてくれない?」

「え?待ち合わせ場所?」

「そうなんだけど、このままじゃ絶対時間に間に合わなくってさ。自転車だったら、すぐかなって思って。」

「そうなんだ。じゃ、どうぞ、後ろに乗って下さい。」

カツヤは優しく笑うと自転車の後ろを親指で指した。

「サンキュウ。」

私はカツヤの後ろにまたがった。
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