2/3友達
とりあえず、家に連絡しなくちゃ。

携帯を濡れたカバンから取り出す。

携帯まで濡れてるよ。。。

家にかけようとしたのに、かからない。

「やば。壊れてる。」

「うそ。じゃ、うちの電話使いなよ。」

カツヤに促されて、リビングにあった電話を借りた。

「もしもし。」

「ナツミ?ナツミなの?こんな時間まで連絡もなしで、何してるの!」

明らかに怒り心頭なお母さんの声が耳もとで響いた。

そりゃそうだよね。

「ごめん。友達のうちにお邪魔してて、帰ろうと思ったら急に豪雨に見舞われて、また友達のうちにいるの。」

「友達って?」

一番聞いてほしくないことを聞いてくるのがお母さんだ。

「え、同じ部活の後輩。」

「誰?」

「お母さんの知らない人。」

「女の子なの?」

そこまで聞いてくるか・・・。

「うん。」

小さな声でうなずいた。

こういう時も、嘘がつけない自分が腹立たしい。

っていうか、全然やましいこともないわけで。

嘘をつくこともないのに。

嘘をついたことで、ものすごくやましいような気持ちになってくる。

< 184 / 230 >

この作品をシェア

pagetop