長くて短かった月日
腕には自動式の血圧計反対の腕には点滴と指先には、血液中の酸素量が計れる機械を付けている。
手術の間、先程抱き付いた看護士さんが顔を覗きに来て「痛いとか辛いとか無い、苦しくなったりしたら言ってね」と、声を掛けてくれるが、俺はそれ所では無い、半身麻酔だから先生の声看護士の声部屋の中の物音全て聞こえているし半身麻酔が効いているが、足を触られると正座をして痺れたを撫でられている様で感じ無い訳では無い。
気を効かせてチョクチョク看護士がやって来て声をかけ続けてくれたのは有り難かった。「山田さん痛かったり気分が悪く成ったりしたら直ぐに言って下さいね。」と、言う俺は「判ってるけど、具合が悪くなったら止めるのオペ?」と、聞くと「止めませんよ。でも教えてね」
「何だそれは、意味無いじゃん 」
「ははははは」
「じゃ無いでしょう。頼むよこんな情けない恰好してるんだから」
「そうね!恰好良いとは言え無いよね。だから二度も三度もこんな事したく無いでしょ。」
「まあ、それはそうだけど」と、言うと俺の視界から消えた。
暫く音だけを聞いていると隣のオペ室から声が聞こえて来た
「産まれましたよ。やっと」隣はお産だった。
それから、暫くして俺の所にまた看護士がやって来て
「今縫合を始めましたから後少しで、終わりますからね。頑張ってね」
「そんな事言われても頑張るのは俺じゃ無くて、先生でしょう俺は転がって居るだけだから」と、言うとアッサリと
「あっそうね」と、言って黙ってしまった。
「何で黙っちゃうんだよ。何か言ってよあ〜何だか不安になって来た。」
と、言うと
「何を言って欲しいの」
「そんな事、判らんョ。何だったら俺と漫才でもしますか」
「なにそれ、大体オペ室で漫才する人見た事ないよ。」
「それが良いんでしょう。人とおんなじ事していても売れないよ。そうだな名前は患者とナースなんて洒落て無いかな。」
「何で、二人で漫才しなきゃいけないのしかも勝手に名前まで勝手に付けてんのよ」と、言って部屋に居るみんなが、笑っていた。
主治医まで
「山田さん、あんまり笑わせないで下さい。手が震えて変なとこ迄塗っちゃうよ。
「先生、俺が間違ってました。勘弁してください。」と、言うとまたまた爆笑に、成ってしまい。
やばい事にまた先生まで笑わせてしまった。
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