終わらない物語
「うっわ、なにコイツ。すっごいヤな感じ。」


自分の攻撃があまり効かなかったことが気に食わないのか、理杏が顔をしかめた。



「そいつの表面は何か硬いものでできているらしいんだ。だから愁の剣もあまり効かなかったし、俺の弾は…何でか跳ね返されるし…」


敬治が悔しそうに顔を歪める。




「へぇ…随分とめんどくさそうな奴なんだな。」


瑞樹が呟いた。


その顔には、何かを企むような笑みさえ浮かんでいる。


そして、その目は獲物を見つけたハンターのそれとよく似ていた。




普段の瑞樹ではない。

ボクサーとしての瑞樹の顔である。

< 132 / 153 >

この作品をシェア

pagetop