終わらない物語
宛名も切手もない手紙
愁が帰宅する頃には、いつももう日付が変わっていた。
いつものように、自分の合鍵を使って愁は真っ暗な我が家に入った。
家族は誰一人起きていない。起きていたとしても、顔を合わせることはなかった。
『家族』――
便宜上その様な表現をしたが、果たして自分と同じ家に暮らす住民たちのことを、家族と呼べるのだろうか…?
『家族』について考える時、愁はいつも苦笑を浮かべてしまう。
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宛名も切手もない手紙