こんなに好きなのに━番外編━
「…………泉兄とさ喧嘩とかしねぇの?」
「しない…だって泉は大人だもん。それに、喧嘩なんてしてる時間もったいない…」
今日みたいな事はよくある…本当、私ってもったいない事してるな。
「別れようとか思わないの?教師と生徒なんか不毛じゃん。」
「………思わない。思えない…私には泉だけなんだ。泉しか無理なんだ…」
だって初恋だったんだもん。泉が初めて好きになった人…
「そっか、」
「………珍しいね、晃がそんなに聞くの。」
「ちょっと気になっただけだよ、」
「……恋でもしたの?」
「ちげーよ!」
「晃ってさ…モテるのに彼女いないよね。」
「女なんていらねーっ!すぐ泣くしうるさいし。」
「…好きな子ができたら晃も変わるよ。その子が好きで好きで仕方なくなって…そんな事、言えなくなっちゃうよ。」
「…………」
「って私、何言ってるんだろ?キャラじゃないこと言ったね、ごめんごめん。」
「そうだよ、偉そうな…ばーか。」
「ばかじゃないよ、一応、次席ですから。」
「だな……」
私の家まで晃と話しながら帰る。
泉…本当は泉と帰りたいんだよ。晃には悪いけど…泉とこうやって話しながら帰れたらどれだけ嬉しいんだろ。
みんなにとっての当たり前が…私達に出来ない。
それが一番辛いです…