【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「私は──…
慎一様と千鶴様に、執事として奈々様にお仕いするよう命じられここへ参りました。
奈々様にはここで、一流の淑女となるため勉学に励んでいただきます」
「…お父さんとお母さんが?」
「はい」
どうしてそんなことを……
「…失礼ですが奈々様。私から一つご忠告させていただいてもよろしいでしょうか?」
「何よ?」
「貴方様は結城財閥のご令嬢。くれぐれも、ご自分の立場をお忘れなきよう」
「…財閥?ご令嬢?何、言ってるの?そんなわけないじゃない」
だってあたしは、ごくごく普通の女子高生なんだから。
財閥のご令嬢なんて、あり得ない。
「ねぇ、あなた誰かと間違えてない?
あたしは千代さんのツテでここに転入できただけで、家はお金持ちでも何でもないんだよ?」