【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「………っ!」
「奈々ちゃん…やっぱりここにいたのね。絶対来ると思ったわ。あたしの勘って、よく当たるの。ねっ?南、そうでしょう?」
あたしの瞳は光を失い、視界がじわりと滲む。
色味までも無くした世界は
目の前で幸せそうに微笑む彼女の表情を、ひどく鮮明に写し出していた。
モノクロの世界。
モノクロの風景。
モノクロの…エミリさん。
そして、ただ一つだけ
鮮やかな色を放つのは
あたしの心を優しく撫でるのは
…愛しくてたまらない、彼だけなんだ。