【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


ぎゅっと固く目を閉じたその瞬間

あたしの手に、何かが触れた。


温かくて…

優しくて…


震えるこの手をそっと包む、大きな彼の掌。


確かに感じた、彼の温もり。

確かに感じた、彼の気持ち。




“私を信じて下さい”




手の繋がりはあまりに脆く、ふたりは引き離されていく。


止まった世界は再び動き始め

一瞬の夢からあたしは目を覚ました。




< 114 / 208 >

この作品をシェア

pagetop