【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


何も言わずにあたしの前から姿を消したくせに………




「…勝手なこと言わないでっ!

ある日突然いなくなって…そうかと思えば今度は突然現れて…

あたしがどれだけ傷ついたか、隼人にはわかんないでしょう!?!?

あたしはそんな簡単にあなたのことを許せるほど大人じゃない!

それにまだあたし…全ての記憶を取り戻した訳じゃないのよ?」




真っ直ぐな視線。


あたしの瞳が、彼を捕らえた。




「…何も言わずに向こうへ行ったのは謝る…

だけど…そんなに記憶って大事なの?奈々にとって、過去ってそんなに大切なものなの?

俺は…例え奈々が、俺のことを思い出せなかったとしても…この気持ちが変わることなんてなかったと思う。

奈々が俺のことを忘れても、俺は奈々のこと、ちゃんと覚えてる。奈々と俺の記憶はずっと俺の中にある。

それで十分だ、って奈々はそう思わない?」




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