【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「…き、着替えるから出ていってくれるっ?」
急に恥ずかしくなって
声は裏返るし、噛んじゃってるし…
…だめだめ。
しっかりしろ、あたし。
頬を染めながらブラウンのブレザーに袖を通し、全身鏡の前に立つ。
首元を飾るのは、赤いチェックのスカートと同じ柄のリボン。
胸ポケットには、キラキラと輝くエンブレム。
この学園の生徒の証。
南が用意してくれた朝食を食べ終えたあたしは、彼と共に学園の校舎へと向かった。
「こちらが奈々様の教室でございます」
「……っ…」
大丈夫だと思っていたはずなのに、やっぱりそれを前にすると緊張してしまう。
彼の方に視線を送ると
南はあたしの方を見て、フッと笑みを落とした。
「大丈夫ですよ」
「……うん」
静かに頷いたあたしを確認すると、彼はその重々しい扉にそっと手をかけた。