【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


「っ……出てって…!ここから出てってよ!!!!」




彼はフッと笑い、口を開く。


動じることのないその態度は、まるであたしを嘲笑うかのよう。




「いいの?俺がいなくなったら奈々、また独りぼっちになるんだよ?」


「…っ!」




声が、出なかった。

ううん、出すのが怖かった。


あたしの言葉を否定されるのが、怖かった。




わかってる。


あたしは…一人じゃ生きていけない。


独りぼっちはすごく嫌だ。


…堪えられない。


あたしは…弱い人間だから。


…耐えられない。




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