【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「…昔から奈々は強がってばっかり。本当はすごく弱いくせに…
…だから俺、放っておけない」
さっきまでの鋭い瞳とは一変。
眉をハの字に垂らして、力なく微笑んでいる。
「…じゃあどうして…?
どうして黙ってニューヨークなんかに行っちゃったの!?」
ずっと、ずっと、聞きたかったこと。
「“さよなら”くらい、言ってくれたって良かったじゃない…」
“待っててね”って言葉、あたしにくれたって良かったじゃない…。
ただ一言。
一言だけで良かったのに…