【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
───…
ふと、空を見上げる。
この時期、いつもなら灰色の雲があたし達を覆っているはずなのに
この日は違った。
最近ではめっきり見ることが少なくなった青空が、太陽と共に輝きを放っている。
あの契約を結んでから、数週間という時間(トキ)が過ぎ
クリスマスを3日後に迎えた、ある日の午後。
「ねぇ、奈々。見て!」
「ん?なにー?」
あれから真宝は、一切隼人や南の話題を切り出すことはなく
気を遣ってくれている彼女の優しさに、あたしはただ甘えていた。