【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「こんな素敵な方が執事なんて、なんて羨ましいの…!」
「あなた…見たことがない顔だわ。一体どうして南様があなたの執事に?」
「お父様は何をなさっている方なの?」
あたしが口を挟む隙もなく、次々と飛んでくる質問。
それを制止したのは
ついさっきとは打って変わって、ニコリともせずに凛々しい表情を作り出す彼の一言。
「皆様、どうかお静かに」
ざわめきはピタリと治まり、静寂な空気に包まれる。
チラッと南の方を確認すると、彼は優しく微笑んでいた。
それを合図だと受け取ったあたしは、ゆっくりと息を整え
教室全体を静かに見渡した。
「えーっと…あの…あたし、今日からこのクラスでみんなと一緒に勉強することになりました、結城 奈々です。どうぞよろしく…」