【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
勝ち誇ったようなその瞳。
…ううん。
“これが当然”とでも言うような瞳だ。
嫌だ。
逃げたい。
ここから、早く逃げたい。
「あら?奈々ちゃん、久しぶりじゃない?この度はご婚約、本当におめでとう」
嫌だ。
言わないで。
南がいる前で、そんなこと言わないで。
「……心より…お祝い申し上げます…」
嫌だ。
聞きたくない。
南の口からそんなこと、聞きたくなんかないのに。