【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
愛しい人は、あたしの前から姿を消した。
そっと、静かに閉まった大きな扉が
やけに遠く感じる。
手を伸ばしても、それに届くことはなかった。
光輝く世界
そんなの、嘘。
閉じ込められたのは
暗い、絶望の空間。
光が射す方へ、あたしはゆっくりと足を進める──…
…はずだった。
その一歩先、虚しく行き場をなくしたのは
彼女がそれを許さないから。
立ちはだかるのは、他の誰でもなく…
…エミリさん。
彼女しか、いない。