【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
思わず、息が止まる。
まるで時間までもが止まってしまったかのように、周りの空気の動きが静止する。
目を見開くあたしと、目を細める千代さん。
「…っ…あたし、は……」
あたしは………
何を、求めているの…?
この選択は、間違っているの?
…ううん、そんなはずない。
だって、あたしがこれを望んでいたのだから。
この先に待っている未来を、望んだのだから。
「昔…好きだった人がいたわ。
でも…当時の私には婚約者がいた。両親が私に、政略結婚させようとしていたの」
フーッと短く息を吐いた千代さんが、呟くように語り始めた。