【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
恐る恐るみんなの顔色を伺うと、何故か彼女達は驚いたように目を丸くしている。
…何でだろう。
「……今、結城とおっしゃった?」
「私も確かにそう聞こえたわ」
「…ということは…まさか…!」
まさか……何…?
「信じられない!あの結城財閥のお嬢様が私達とご一緒にお勉強をなさるの…!?」
「結城財閥といえば、あの宮澤財閥や夏川グループと肩を並べる世界的にも名の通った大企業……」
「…南様が執事をなさるのも納得ですわ…!」
納得ですわ…!じゃなくて。
みんな、明らかにあたしのこと勘違いしてる。
だってあたしがここに来たのは、千代さんがこの学園の学園長ってだけであって
あたしがお嬢様だからというわけではないのだから。
ついこの間まで、ここのお嬢様方とはまるで違う世界で生きてきた
正真正銘、普通の女子高生なのだから。
…少なくとも、この学園へ来る前までは。