【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
優しくて心強い言葉をくれた二人に
一度深く、頭を下げた。
固く閉じた瞳と、強く握った拳が、やんわりと温かさに包まれる。
あたしは“ありがとう”と、心の中で何度も繰り返し叫びながら
煌めく会場を後にした。
───…
隼人と契約を交わした
あの日。
『あの頃はまだ、青かった…幼すぎたんだ…俺達は』
小さく落とした彼の言葉を、必死に拾い集めるあたし。
真実を、知ってしまった。
現実を、見てしまった。
記憶を取り戻した
あの日。