【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
…耳を疑いたくなるような、そんな一言が鼓膜を揺らす。
『嘘なんかじゃないよ。
…奈々は覚えていないだけだろ?絶対に違うって、そんなはずないって、本当に自信を持って言える?
…覚えてないなら俺が教えてやる。俺が奈々の記憶、蘇らせてみせる』
『………隼人、が…?』
『そう、俺が』
真っ直ぐな視線が痛い。
真実を知っているその瞳が、何だかとても怖い。
不安の渦に、今にも巻き込まれてしまいそう。
知りたいと言ったのはあたし。
望んだのは、あたし。
あたしは記憶を取り戻したい。
全部…思い出したい。