【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~


…耳を疑いたくなるような、そんな一言が鼓膜を揺らす。




『嘘なんかじゃないよ。

…奈々は覚えていないだけだろ?絶対に違うって、そんなはずないって、本当に自信を持って言える?

…覚えてないなら俺が教えてやる。俺が奈々の記憶、蘇らせてみせる』


『………隼人、が…?』


『そう、俺が』




真っ直ぐな視線が痛い。


真実を知っているその瞳が、何だかとても怖い。


不安の渦に、今にも巻き込まれてしまいそう。




知りたいと言ったのはあたし。


望んだのは、あたし。




あたしは記憶を取り戻したい。


全部…思い出したい。




< 178 / 208 >

この作品をシェア

pagetop