【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
───…
「あ゙~、疲れた!学園生活ってもっと華やかなイメージだったのに…全然違うのね」
今までに習ったことのないような、まさに上流階級のお嬢様のための授業。
礼儀作法、立ち振舞い、言葉遣いは常に意識しなければならない。
……らしい。
寮へ帰る途中。
太陽はすでに半分顔を隠し、オレンジ色の淡い光で覆われた空が広がる。
「ていうか、何でみんな南のこと知ってるの?もしかして有名人?」
「…っ!」
「南…?」
眉を寄せ、しかめっ面をする彼の視線の先には
こちらに近づいてくる二つの人影。
「奈々様、急ぎましょう」
「えっ?」