【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
ピクリ、と彼の眉が動いた。
次第に曇っていく表情。
確信は、呆気なく崩れ去る。
『父さんと母さんはそう言ってたけど、本当は違う。経営学を学ぶためなんてもっともらしい理由をつけて、俺と奈々を遠ざけようとしたんだ。
…わかる?俺達の親はグルになって、意図的に俺達を遠ざけようとしたんだ』
青くて幼いあたし達は
何も、知らずに
何も、できずに
両親によって、引き裂かれた。
“幼すぎた”
そう言って目を細めた、隼人の悲しそうな表情。
さっき見たばかりなのに、今もまた同じ目をしている。
深い、哀しみに満ちた瞳
憂いに満ちた、その瞳。