【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
動揺を隠せず、思わず言葉を失う。
にもかかわらず目の前の彼は、淡々とした口調で話を続けた。
『俺がアメリカに行ってすぐ、一年間の契約で奈々に執事がついた。
それが…南。当時はまだ見習いだった』
頭の奥がズキズキと痛む。
そのせいで
記憶を辿ろうとしても痛みがそれを邪魔し、思い出すことができない。
『ここまでは全て、親の計画通り』
『…計画?』
あたし達を引き裂く…こと?
『俺達を結婚させて、自分達の会社を大きくする計画だよ』
『……え?そんなっ…!それじゃあどうして──…』
“どうして、わざわざあたし達を遠ざけたりなんかしたの?”