【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
………思い出した。
確か、あれはあたしが6歳か7歳くらいの時。
頭を撫でられる時の、あのふわっとした感覚が大好きだった。
お父様とお母様の、あの優しい笑顔が大好きだった。
『…あたし達の結婚は……ずっと前から決まっていたことなの…?
あたし達、大人になるために離ればなれになったの…?
隼人は、あたしと婚約するためにここに来たの…?
ねぇ、隼人…、あたし達……結婚するの…?』
彼の瞳を見つめながら、問う。
降ってきた答えは
あたしの希望を打ち砕く、あまりにも残酷な彼の言葉だった。
…知ってしまった。
あたしは、真実を知ってしまった。