【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
現実を…見てしまった。
『そうだよ。俺達は結婚する。今日ここで、婚約するんだ』
『でも…あたしっ……』
あたしは、南のことが──…
『……そんなに好き?奈々は南って奴のことがそんなに大切なの?
…だったら今すぐその想いは断ち切った方がいい。奈々の為にも、そいつの為にも…』
隼人が何のことを言っているのか、すぐに理解した。
…わかってる。
彼は“執事の大罪”のことを言っているんだ。
…わかってた。
彼があたしと南の関係を知っているのだと気づいた瞬間から。
きっとこうなるんだって、薄々勘づいていた自分に嫌気がさす。