【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
愛しいあの人


───…


息を切らしながら、全力で駆け抜けた。




昔から走るのは得意だった。


だけど今は、思うように脚が動いてくれない。


気持ちだけが先走り、身体はそれに追いつけない。




本当はヒールなんて、今すぐにでも脱ぎ捨てたい。




高い靴なんていらない。


立派なドレスなんていらない。


欲しいのは、あなた。




ずいぶん遠回りをして行き着いた、あたしの答え。




何もいらない。


あなたさえいれば、あたしは満たされるから。




全てを失ってでも、譲れないものがある。




この想いだけは

誰にも…譲れない。




< 188 / 208 >

この作品をシェア

pagetop