【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
こっちに向かって来てるのに…!
そう思いつつ、南に手を引かれ小走りを強要される。
「ちょっ…南!?」
突然起こった彼の異変の理由を訊ねようとしたその瞬間。
振り返れば、遠くにあったはずの人影が
いつの間にかあたし達のすぐ目の前まで来ていたことに驚いた。
「結城 奈々ちゃん…だよね?」
突然声をかけられ、ビクッと肩が跳ねる。
声の主はあたしの顔を覗き込み、屈託のない、無邪気な笑みをばらまいた。