【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
「奈々様…っ」
彼の憂いに満ちた瞳が
微かに、揺れる。
頬の温もりがなくなり
距離が、生まれた。
十分な距離をとった彼を見て、あたしは不安が募る。
言ってしまいたい。
言葉にしてしまいたい。
今すぐ、この想いを。
でも、伝えてしまったら何もかも失ってしまう。
それこそ、大罪。
確実にあたしは、罪を犯してしまう。
あたしだけじゃなく、彼までも巻き込んで……