【キミに伝えたくて…】~執事に恋したお嬢様~
口を閉ざすあたし。
頭上から降ってきたのは、優しい声色で囁く彼の言葉。
「奈々様はご存知のはず。わからないとおっしゃるのなら、どうか…どうか思い出して下さい。あなたが何度も口にした…私の、名を。
そしてまた…その名を呼んでは頂けないでしょうか?以前のように私の名を呼ぶ奈々様のお声を、聞かせて下さい…」
…それをあなたが望むのなら
その名前、何度でも呼び続けたい。
…それであなたが笑顔になれるのなら
あたし、頑張って思い出すから。
だから、お願い。
そんな悲しい目であたしを見つめないで。
あたしに、背を向けないで。
あたしの側にいてよ…。